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第十一章 四.
快次とともに電車にゆられ、案内されるままついたのは門前仲町のコンビニの向かいにある携帯ショップだった。
「ここっすよ」
「平日なのに多いな」
「そうみたいっすね」
そう言いながら入口へ向かっていると、誰かが出てきたところだった。その人は――。
「……ん? 明坂さん?」
「あらぁ? 誰かと思えばどこかの嘘つきさんじゃない」
夜に、カンテラで沙雪と会わせる予定になっている明坂瑞樹だった。
「嘘つきじゃないですってば。ていうか、どうして、ここに?」
「別に理由なんていいでしょ。新しい携帯を買ったところなの」
ひょい、と手にしている紙袋を軽く持ち上げて見せる。そこには二つの箱が見えた。
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