第十一章 四.

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「……いいんすか?」 「……よくないとは思うけど、追いかけてどうするんだ」 「それもそうっすね……でも、汐吉サン」 「ん?」 「あの人の目、おかしくなかったっすか?」 「……目? そうだったか?」  汐吉は全く気が付かなかった。日曜日となんら変わりないように思える。 「うっす。なんていうか……、初めて会ったっすけど、普段、警備員していてもああいう人には会うことないっすよ。目が死んでるっていうか」  言葉を選びながら話す快次を見ていると、汐吉も彼女が気になりはじめてきた。 「……うーん。日曜日も、話し方はあんな感じだったしなぁ」 「それに、携帯を二つっていうのも気になるっす」 「なんで」 「箱が同じでした。側面にロゴが出てたので」  彼女が買ったものは、快次が使っているものと同じ会社の製品だったようで、目につきやすかったらしい。
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