第十二章 一.

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「今、なんて?」 「え? 喰代さんに会っちゃった、ってやつ?」 「バレなかったろうな」 「はい。もう一人の男には、なんで携帯を二つ買ったのか聞かれたけどぉ、適当にごまかしてそのまま来たの。ここに入る前に確認したら、尾行もされてなかったわよぉ」  ふふ、と余裕のある笑みを浮かべる。わざとらしいほどの、笑顔。 「……じゃ、さっさと彼女を起こせ。死気を今よりもっと取り込ませる」 「はぁい」  腕を解放された瑞樹は、紅乃に近づく。す、と腹部あたりで軽く拳をつくった。 ***
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