第十二章 一.

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「領収書は会社名義でした?」 「いえ、個人名でしたよ」 「そうですか……」 「ところで、喰代様がお求めの機種なんですが、取り寄せになってしまうんですよ。一週間ほど」 「ああ、いいです。取り寄せで」 「かしこまりました。少々お待ちください」  微笑んだ彼は、席を立つとバックヤードらしきところへ入っていく。その束の間の空白時間で、快次と話をする。 「やっぱりあの人は怪しい。怪しいけど、もう少し、確実な証拠が欲しい」 「確実な証拠、っすか」  ショップ店員すら、特に疑問を持たなかったらしいことを、権限を使って捜査するということはできない。
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