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第十二章 二.
「……それで、約束の時間になったわけだが」
「こないわねぇ」
快次と入れ替わるように汐吉の近くにいるのは沙雪。現在、夕方の五時半。五時開店のため、それに合わせてくるという手はずになっていたが、瑞樹は一向に姿を見せない。
「やっぱり、あれはそういう意味か……」
「あれ?」
沙雪が首をかしげる。
「……あとで話そうと思っていたけど、いいか」
汐吉は昼間にあったことを話した。快次と一緒に帰る途中であった出来事だ。
「……つまり、明坂さんが怪しいってことね。その話、真菅さんには?」
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