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第十二章 三.
火曜日は、結局紅乃から連絡は来ることがなかった。
翌日の水曜日、いつも通り昼前あたりで起きた汐吉は、久しぶりにゆっくりとした寝起きの時間を過ごしていた。
「……休みにするなら金曜日かな…、いや、それだと夜更かししそうだ。今日か明日……考えるのもめんどくさいし今日にするかな。いや明日か……」
いつも常連たちがくるのは水曜日だ。木曜日は侑斗くらいしか来ない。それに今は会いたくないのが本音だった。そう言わずとも、来ないような気もするが。
「明日を臨時休業にするか。紅乃もシフトじゃないしな」
テレビをつけたと同時に、店の電話が鳴る。もしかして真菅かも、と思った汐吉はやや早足で階段を降り、受話器を手にした。
「はい、喫茶カンテラ」
『あ、おはよう。喰代』
客用の挨拶に返事をしたのは蒼早だった。
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