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「なんだ、蒼早か」
―……蒼早?
朝が苦手なはずの彼がなぜこの時間に、と思ったところで、気が付く。もう十一時を回っている。朝、と呼ぶには遅い時間帯だ。起きていても不思議ではない。
『真菅じゃなくて悪いね』
「その様子だと、松浪さんから聞いたか?」
『ああ。昨日帰ってきたときは、君と刑事ドラマの話ができたといって、ずいぶんご機嫌だったよ』
「それは何より」
その代償が、二時間ほどの刑事ドラマ談義だ。もちろん、二時間のうち汐吉がしゃべったのは五分程度。ほぼ、沙雪がしゃべり倒した。
ドリンクだけでなく、フードも注文してくれたため、彼も適当な理由をつけて追い出さなかったのだが。沙雪でなければ何とかして追い出していただろう。
『沙雪は仕事があるから僕が電話したのだけど。臨時休業、本当にするの?』
「それも聞いたんだな。明日にする予定だ。俺もいい年なんでね」
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