第十二章 四.

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 携帯を見ようと鞄を探す。が、ない。おかしいな、と思いながら、立ち上がると自分が靴をはいていないことに気が付いた。 「つめたっ……、え、はだしじゃん。なんで?」  全く分からない。こういうとき、汐吉ならばどうするだろうか? 「……とにかく、ここがどこなのか、探して……脱出を試みる。だね」  うん、と一人うなずく。さあやるぞ、と意気込んだところで、ドアが開いた。 「あ、起きたね」 「……あれ? 二俣さん」 「おはよう。よく寝てたよ」 「あ、ど、どうも……」  突然現れた常連に驚きつつ、ぺこりと頭を下げる。 「あの、私、ご迷惑おかけしました? もうごめんなさい、全然覚えてなくて」
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