第十二章 四.

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 えへ、と苦笑いを浮かべながら謝る彼女の額に、侑斗が指先を伸ばす。 「大丈夫だよ。今は休憩だから」 「きゅうけい?」  どういうことか、と尋ねる前に、額にあてられた指先が肌色から黒いものをはらんだ色に濁る。 「……ずーっと、死気で満たすのにも時間がかかるからさ。僕の、休憩時間」  つ、と指先を離すと、紅乃の目は灰色がちなものになる。 「第三段階、目の色の変化。いいね、あと少し。和氣紅乃さん、分かる?」 「分かりますよお、ユウトさん」 「和氣さんのお家には、僕から急遽ゼミ合宿に行くことになった、って連絡入れておいたから。一週間くらいは家に戻らなくて大丈夫」 「助かりますー。大学もめんどくさかったし、サボれてラッキー」  にこ、と笑う。その笑顔は機械じみており、口は弧を描いているが目に温度はない。
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