第十二章 四.

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「近々、和氣さんと明坂さんでやりたいことがあるんだよね」 「やりたいこと?」 「ウラガミ様……いや、ヒナゲシ会っていうのを潰すんだよ。聞けば、順調にメンバーが集まりつつある。そんなのいらないでしょ。嫌いだよね?」 「嫌いですねぇ。ユウトさんが嫌いなら私も嫌いです」 「だろう。明坂さんはもうすっかり死気が浸透しているから擬態もうまくなった。あとは君だ、がんばって」 「がんばりまぁす! のどかわいたので水飲んでもいいですか?」 「いいよ」 「わぁい!」  明るい声で元気よく言う。ぺたぺたとはだしで冷蔵庫にかけよると、ペットボトルの水を取り出しゴクゴクと喉を鳴らして飲んだ。 「ぷはー、おいしー。寝起きって水がほしくなりますよねぇー」 「そうだね。好きな飲み物は喰代のコーヒーだって聞いたけど、それと比べても?」 「そりゃあそうですよぅ! 水よりコーヒーですねっ」 「……どれだけまずくても?」 「店長のコーヒーはおいしいんです。店長が作るものはなんでもおいしいんです!」  先ほどの苦笑いとは違い、はにかむように微笑む。
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