第十三章 一.

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「だが、そうか、男性か……。松浪さんの話だと、ウラガミ様候補が死気に憑かれる可能性があるってことだし、もしかしたらその人、ウラガミ様かもな」 「だとしても、どうやって調べるのさ。東京に何人住んでると思ってんの?」 「……そうだよなぁ」  蒼早の言う通りだった。今回は港区で見かけたということになるが、違う区に住んでいる可能性もある。ピンポイントで探すのは難しい。 「だから、行くよ」 「え?」  汐吉がパンケーキを切る手を止める。蒼早はぱくりと口にいれて、彼のほうを見た。のみこむと、アイスティーが入ったグラスを口に近づけながら続ける。 「氷川神社に行くの。明日」 「明日、って……、あ、さっきの電話」 「そう。臨時休業にするんでしょ?」  行くのはもう決定事項だ、とでも言うようにアイスティーをぐいっと飲む。
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