第十三章 一.

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「授業がなかったら、ご一緒してたんですけど」 「平気だよ。ね、喰代」 「ああ、まあ……、浄化ができるからな」  汐吉の能力があれば、もし死気に遭遇したとしても浄化させることができる。 「若葉。その、死気が見えたときのこと、もっと教えてくれないか?」 「え? あ、はい。ええっと……スーツ姿の男性で、髪は短くて金髪で……」 「スーツの色は?」 「灰色でした。ネクタイはしてなくて……あ、そうだ」  はたと、思い出したことがあるようで汐吉の顔を見つめる。 「確か、オレンジの眼鏡と、赤いピアスをしてました。ぼくが見たのは左耳だけなので、右耳は分かりませんが」  言われた光景を頭の中で想像する。なかなか、“パリピ”いや“陽キャ”な気配がしてきた。  真反対に位置する汐吉と蒼早は、文字通り固まる。
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