第十三章 一.

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「オレンジの眼鏡に赤いピアス? どんなヤンキーだよ、それ」 「えっ、でも、スーツでしたし……どっちかっていうとホストっぽい見た目かと」 「……確認だけど。藤枝、オレンジの眼鏡って、どこがオレンジなの? フレーム?」 「うーんと、フレーム……じゃなくて、横のやつです。どういうか分からないんですけど」 「そこはテンプルっていうんだって。沙雪から聞いた。……フレーム眼鏡じゃないってことは、眼鏡のレンズは薄いのかな」  ふむ、と沙雪がかけている眼鏡を思い出しながら、考え込む。彼女が使用している眼鏡は少々厚めのフレームだ。 「そこまでは、ぼくにも……」  ごめんなさい、と苦笑いする。気にするなというように汐吉が首を横にふった。 「もし、明日それっぽい人を見かけたら声をかけてみる。……し、写真もとれたら送ってみよう」 「藤枝に見てもらえばいいしね」 「はい、分かりました!」  元気にうなずく若葉に、汐吉も笑って返す。そんな二人をよそに、蒼早はパンケーキを再び口に運んだ。
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