第十三章 二.

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「紅乃かも」  もしかして、と思い、急いで店内へ戻る。 「はい、もしもし。紅乃か?」 『……? いや、真菅だが』 「……、なんだよお前か」 『なんだとは失礼だな。和氣さんがどうかしたのか』 「昨日……、いや、なんでもない」  真菅がそう聞いてくるから答えそうになったが、変に不安を与えるのもよくない、と思い直して適当にお茶をにごす。 「それで、なんかわかったか」 『ああ、お前に言われて明坂瑞樹という女性のことを調べた。とりあえず、だが、汐吉が行った携帯ショップから近い門前仲町駅、あと一個先の木場駅の監視カメラには映っていなかった』 「……そうか。やっぱり歩きで行ける範囲内か」 『どうだろうな、タクシーとかそれこそ方法はいくらでもある。引き続き、周辺の店舗の監視カメラをあたってみよう。少しはしぼれるかもしれない』 「ああ。……他は?」
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