第十三章 二.

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 監視カメラだけでも二ヶ所調べてくれた、というのは助かることだった。他にも仕事はあるだろうに、知り合いかつ疑似家族のような関係性である汐吉のために時間を使っているのだから。 『明坂さんの勤務先、ライフエンタに確認すると、携帯を買って来いという指示はしていないそうだ。出勤もしていない』 「……普通は探すよな。してないの?」 『ああ。この三日間は連絡が取れないが、以前に本人から電話で“一週間ほど取材で出勤できなくなる”と連絡があったらしい。だからそれで来ないんだと思った、って。あまり大ごとだとは考えていないようだったな』 「そうか……、……その連絡はいつ?」 『連絡がつかなくなる前だから、四日以上は前になる』 「今日が水曜日だから……、日曜日より前か? ……ん?」  日曜日のあの約束はどうなる? 「それはおかしいだろ。あの人はあの日、月曜日ならカンテラに行くって言ったぞ」 『私も聞いていた。だからおかしいと思って、監視カメラを調べることも決めたんだ』  日曜日のあの騒動があったとき、彼女は言った。
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