第十三章 三.

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「……何してるの?」 「君の特徴を書いてる。その髪色、いいね。何歳?」 「十八」 「十八歳、なるほど。よし、これでいい。そっちは?」 「え? あ、ああ……店の名刺なら」 「はいどもー。えー、喫茶カンテラね。店長?」 「そうだ」 「オーケー」  にこ、とほほ笑んでまた名刺にペンを走らせる。汐吉と蒼早は互いを見て、よく分からない、というように蒼早が首をかしげた。 「あ、俺の名刺もあげないとだね。はい、どぞー」  内ポケットから名刺を取り出し、ひょいひょいと汐吉と蒼早に手渡す。  まさか相手も名刺をくれるとは思っていなかった二人は、また互いを見たあと、きょとんとしたように名刺に目を落とした。 「……失礼だが、どう読むんだ?」 「よく言われるー! だいきち、って書いて、おおよし。大吉(おおよし)(あかつき)。めでたい名前っしょ!」
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