第十三章 四.

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「私の名刺です。どーぞ!」 「サンキュ。で、そっちの君は?」 「うーん、大学生だから持ってなくて……」 「じゃあ写真だ」 「いいですよ」  紅乃は暁の近くに行き、おとなしく彼の携帯に向かう。パシャリとシャッター音がし、暁は画面を見て満足げにうなずいた。 「うん、撮れた。かわいいね、えー、和氣ちゃん?」 「ありがとうございます、照れちゃうからあんまりそういうことは……」 「本当なのに。明坂……ちゃんもそう思うでしょ?」 「オオヨシさんに同意~~、本当かわいいのよ、この子」  と、パンパン、と両手を叩く音がする。侑斗が三人の気を引くようにしていたことだった。 「はいはい、みんな。おしゃべりはそこまで」  三人が侑斗の方を向かうと、彼はニコリと笑んだままで続ける。
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