第十三章 四.

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「明坂さんと和氣さんには話したけど、明日はウラガミ様候補を集める準備をする。大吉くんには洲崎天芽を富岡八幡宮まで連れてきてもらうよ」 「あー、巫女のバイトしてるっつう子ね……俺で大丈夫?」 「明坂さんは失敗したから、もう君しかいないんだよ」 「だから、あれが作戦のひとつなんて知らなかったんだってばぁ」  不満げに口を尖らせるが、侑斗は聞く耳を持たない。 「大吉くんは口が上手いから適当に言いくるめてくれればいい」 「どうして富岡八幡宮なの?」 「あそこのウラガミ様候補の一人が、今ヒナゲシ会にいるからさ。ウラガミ様のいない神社でやれば、手っ取り早い」 「……それって、危ないコト?」 「ううん。大吉くん、安心して。気が付いたときには全て終わってるから。とにかく、よろしく頼んだよ」 「今日俺をここに呼んだのはそれを言うためだけ?」 「電話じゃ言えないから。いつ盗聴されるか分からない」 「ふっ、二俣さんのように?」 「そういうこと。今でも気付いてないんだよ、ホント馬鹿だよね、あいつら。大吉くん、作戦はなんでもいいから。明日には連れてきて。いいね」 「うん、オーケー」  あまり深く考えず、ただ言われたことに素直にうなずく。侑斗はくるりと瑞樹、紅乃のほうを向いた。 「じゃ、明坂さんは松浪さん、和氣さんは喰代さんの気を引いて。どちらかがくれば芋づる式に全員来ると思うから」 「はーい」 「了解です」  従順な(しもべ)は、二つ返事で応じた。
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