第十四章 一.

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第十四章 一.

 品川神社に来た蒼早と汐吉は本殿へお参りをすませると、さて、と鳥居のほうを向いた。 「……汐吉? どうしたの?」 「さっきの氷川神社にはお参りしなかったな、と思って。罰あたりかな」 「じゃあ氷川神社に戻る?」 「それもいいな。見た感じ……、他に候補っぽい人もいなさそうだし」  きょろ、と周囲を見渡す。社務所に人影がある以外は、平日ということもあって、特別目を引く人はいない。 「死気が憑いている人も……見当たらないしね」 「そうだな」  いたって平和そのものだ。ウラガミ様候補には会えないし、沙雪が探したいという写真の男も分からない。そもそも、あの人物が二俣侑斗かどうかを確かめるだけでなく、死気絡みなら東京十社でウラガミ様候補となる人物がいないかを探る方が効果的だということで、手分けして探ることになったというのに。 「今更だけど、蒼早に聞いてもいいか?」 「何?」
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