第十四章 一.

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「ウラガミ様候補ってどうやって分かるんだ?」 「……本当今更だね」  やや呆れながら答える。しかし、実は蒼早もあまり分かっていない。 「……沙雪は、たぶん波長で分かるんだと思う」 「そんな超能力的なやつなの?」 「半分冗談。喰代以外だと、他にも目星つけてる人はいたけど……例えば日枝神社のウラガミ様候補だと思い込んだ権藤和臣って男、先週海外に行っちゃったらしくて」 「……松浪さんはどうやってその人にたどり着いたんだよ」 「ネットだよ。藤枝のときと同じさ。調べに調べて調べまくって、権藤和臣っていう人が日枝神社の近くの会社で働いていて、かつ、身内に警察関係者が。もうやめてると思うけど」 「警察関係者ってどこにでもいるもんなのか」 「どこにでもはいないよ。沙雪が言わなかった? ウラガミ様には、正義感が強い人がなりやすいって」 「聞いた、気がする」  そう、沙雪と出会った当初、汐吉は怒って声を荒げた。あの時、正義感が強いくらいでウラガミになるわけがない、と思っていたが――いまやこれだ。
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