第十四章 一.

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「別に、警察関係者だけじゃない。現に沙雪や藤枝は違うでしょ。僕だってそうだ。職業なんて弁護士でもいいし高校生でもいい」  能力こそ特別だが、授けられる人は具体的な条件が決まっているわけではない。 「僕自身、ヒナゲシ会の一員になって思うのは……、正義を貫く時っていうのは、予想できない時なんだなって。いつも突然やってくる。正義を貫くか、見ないふりをするか。ウラガミ様になるとさ、いつだって、正義を貫こうって思える。不思議でしょ」  ふふ、と珍しく微笑む。蒼早が表情を出すのは心に余裕があるときであり、自分以外のことを話すときだ。 「……見ないふりをするのは、もうできないだろ」 「そうだね。……そうだよ。だから、僕も自覚するんだ。ウラガミ様として正義を貫くってことは間違いなく誰かを助けることなんだ、って。布瀬のなりたいヒーローってのは、間違いなくこのことだなって」 「……布瀬さんか」
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