第十四章 一.

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 うなずくと同時に、真菅にいわれたことを思い出した汐吉は目をふせる。  快次が本物のウラガミ様だと証明されていない以上はメンバーとして考えるなと言った真菅の気持ちも、それが正しいことも分かっている。  頭では理解しているが、彼はもう、仲間なのだ。仮であっても、もし、違うとしても。 「布瀬がどうかしたの?」 「いや……、ちょっとな。真菅に、信用しない方がいいって言われて」 「藤枝みたいに確定したわけじゃないから?」 「ああ。俺は、もうほぼウラガミ様だと思ってるけど」 「奇遇だね、僕もだよ。真菅はいうなれば責任者だ。僕たちは現場担当、なら僕たちが何しようが責任は彼にある。分かる?」 「つまり、どうなろうが知ったこっちゃない、ってか」 「そういうこと。責任者は責任を取るのが仕事。いいことでも、悪いことでも。僕の父に比べればずいぶん優しいさ。父は、いい顔しかしないからね。政治家ってそういうもんだよ、わざと憎まれ役になる人はそうそういない。いるとしたら物好きかお人よし」  いても否定はしないよ、と続けながら軽い口調で言う。蒼早の言うことが一理あるな、と思ったところで、違和感に気付いた。
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