第十四章 一.

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「それを防ぐには、沙雪が探したいといっている写真の男と死気が関係ないかどうか、洲崎やあの女子大生を襲った死気の出元を明らかにする必要がある。喰代は、あの常連客が怪しいと思ってるの?」 「二俣くんか。ああ、そうだ。でも、心のどこかでは信じたい自分もいて……だって、開店してからずっと通ってくれている人なんだ。そんな人が、死気で、なんて……」 「見たことないの?」 「え?」  蒼早の瞳が、汐吉をとらえる。まっすぐ、ちょっとだけ背の低い彼は見上げる形で。 「その、二俣の周辺で、死気を。黒い煙。ウラガミ様だと自覚する前にさ」 「見たことない。それははっきり言える」  カンテラに来る客で、死気に憑かれた人はいなかった。王子神社で亜子がなってしまったあの時以外は。 「……そうか」 「喰代?」
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