第十四章 二.

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―考えを改めるのは、私の方か。 「汐吉」 『ん?』 「……布瀬さんを疑えと言って悪かった」 『え?』 「仲間を信じるのが最初の一歩なのに。汐吉にとっては、特に」  父が母を殺したという経験をした汐吉。彼は、あれは何かの間違いだと思い、事実を受け入れることから逃げ、自分のせいだと自身を責めてきた。  それなのに、もう仲間になりつつある人を疑えというのは、酷なのだと――気がついた。 『……別に、いいよ』 「仲間だと信じているなら、そのまま、信じてやってくれ。きっと……、もしウラガミ様じゃなくても、頼れる人には違いないから」 『そんなの、俺のほうが分かってるっつうの』 「……そうだな」  目を伏せ微笑むと、すぐに話を戻す。
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