第十四章 二.

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「汐吉は、二俣侑斗が絡んでいると思っているのか」 『それを確かめるためにも会いたいんだ』 「常連ならそのうち店に来るだろう」 『そのうち、じゃ遅いんだよ。……言おうか迷ってたけど、紅乃が……』 「和氣さんが? どうした。前も何かいいかけていただろう」  電話の向こうで言い淀む空気が伝わってくる。あの時はなんでもない、と答えられたが今回はどう答えるか。  ためらったであろう後、ポソ、と言う。 『シフトに入っているのに店に来なかった』 「何?」 『電話もつながらない。いや、それはともかく、無断欠勤は初めてだ』 「…………いつからだ」 『え?』 「いつから、連絡が取れないんだ」 『シフトに入ってたのは火曜日だ。詫びの連絡も何もない』  火曜日以降、とはいっても二日ほどだが、汐吉の前に現れていないということになる。真菅は嫌な予感を察知していた。
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