第十四章 二.

6/7

85人が本棚に入れています
本棚に追加
/345ページ
「今すぐ二俣侑斗を探す。汐吉、他に忘れていることはないか」 『忘れていること……? いや、もうない』 「いいや、あるはずだ。火曜日に来なかったからおかしいと思って電話したんだよな」 『そうだ』 「その時点で彼女は電話に出られない状況にあったと考えたほうがいい。確か、月曜日は――金崎さんの退院に付き添ったはずだろう」 『……まさか、そのときに何かあったっていうのか』 「わからん。だが、汐吉のそれを聞いて、信憑性が高いと判断した情報がある。それを教えたい」  そう言いながら、足早にデスクに戻る。座ると引き出しをあけ、三枚ほどの紙をバサッと机上におき、その一番上にある紙を軽く持ち上げた。 「明坂さんがお前たちに会う前、月曜日だが……洲崎さんの退院に付き添うはずだったが来なかったそうだ。洲崎さん本人から聞いたから間違いない。でも、彼女自身は病院前にいるところを目撃されている。夕方だ」 『どうして、その情報を今まで……』  言ってくれなかったんだ、と続けたいことを真菅は理解しているように、すまない、と小さく呟いた。
/345ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加