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「知り合った、というよりは、松浪さんが私のところへ来たんだ」
「ふうん?」
「彼女から聞いてないか? “妖対策課”という名前の部署……というのか、係というか」
「聞いた。けど本当にあるのか? 刑事部の第何課だよ。二? 三? 四?」
「妖対策“課”だ、二課でも三課でも四課でもない。独立している」
「非科学的なものに頼るとは、警察は終わったな……」
「ずいぶんな言われようだな。松浪さんが能力について話さなかったか?」
「浄化がどうとか……、でもそんなのファンタジーだろ」
「確かに非現実的だが、目の前で……視認できるものとして起こっているんだろう。私はウラガミというものではないから見えないが」
そう、死気はウラガミにしか見えない。沙雪が説明していた通りだ。他の人には見えない。でも一部の人には見える。全員が見えるようになれば、その時点で“非現実的”なものが“現実”になる。
「妖対策課そのものを設立したのは私ではないがな。犯人が分からない、どうしても見つけられない、迷宮入りになりそうな事件を解決する手伝いをするのが妖対策課の仕事だ」
「超能力で犯人を捕まえるってことか?」
「いやいや、それはない。例えば殺人なら証拠も動機もそろえないと意味がない。基本的に、超能力は証拠にはならない。だが、そうだな、推理をするにあたって、何もないところから考えることはできんだろう」
「事実をもとに考えるんだろ?」
「そう。事件あるいは事故が死気によるものならば、ウラガミじゃない以上それを見つけることはできない。他者から見たものは事実ではなくなる。だから、ヒナゲシ会という組織に手伝ってもらうんだ」
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