第十四章 三.

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「……紅乃に電話しても出なかったのは火曜日。真菅が言うには、それ以前に……月曜日に何かあったんじゃないか、って。その日に、明坂さんが病院で目撃されている」 「月曜日に?」 「そう。あの洲崎さんていう女の子の退院時に付き添うはずだったのに来なかったらしい。そのくせ、夕方に病院前にいたところを見られている」 「怪しいね」 「とても」 「だから金崎……という人に会いに行くんだね」 「ああ。まあ、紅乃と大学が同じということしか知らないから、とりあえずそこに行ってみようと思うけど」 「ふうん、いいんじゃない。大学をちゃんと見るのも悪くないね」 「気が向いたら受験したらどうだ?」 「僕が気に入れば考えるよ」  予定になかった大学見学に、蒼早はどこか機嫌がよさそうにみえる。しかし今や紅乃を探さなければならなくなったし、侑斗の真意を探る必要もあり、なおかつ瑞樹の行方も負わなければいけない。 ―やっぱり働きづめだよな。  一段落したら絶対に一日中寝てやると心に決めた汐吉は、蒼早と共に駅へと向かうことにした。 ***
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