第十四章 三.

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 紅乃、そして亜子の通う大学へ着いた汐吉と蒼早は、そろって校門を見上げた。汐吉の母校とは違い、やや古そうな落ち着いた色合いが煉瓦ににじみ出ている。 「……で、どこに行くの?」 「まぁ待て。こういう時はだな、地図を見るんだ。たいてい、構内案内図とかが……、あそこにある」  警備員ににらまれながらも、大学生のふりをして―蒼早は見えないこともない―校門をくぐる。 「えーと……」  これさえ見ればと思ったが、よく考えれば、紅乃の所属ゼミが分からないため指導教員がいる研究室も分からないし、授業を受けてるとしてもどこの校舎なのかも分からない。 「……えーっと……」 「どうしたの」
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