第十四章 三.

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「その電話、間違いとか、その可能性は?」 「それもないと思いますよ。だって、先生から電話があったって言ってましたから」 「男の先生?」 「え、そうです。なんで……」  電話なんてしょせん名乗ればそれでよくなる。学校名と教授の名前を言われれば、疑うわけがない。普段からひねくれていなければ。 「喰代、やっぱりあの女の子を探した方がよさそうだ」 「そんなこと分かってるよ、でも紅乃が行きそうな場所なんて……」 「あの、心当たりならあります」 「え? どこだ、教えてくれ」 「は、はい」  汐吉の真剣な眼差しに、静かにうなずいた亜子が続ける。 「紅乃ちゃん、私が退院する時に付き添ってくれたんです。別れる前に、言ってました。今度は品川神社に行こうねって」 「品川神社……!?」  今しがた自分たちが行っていた場所だ。だが、紅乃は見当たらなかった。
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