第十四章 三.

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「はい。ええと、東京十社巡りっていうのがあって。日曜日に王子神社に行ったのも、それが理由です。あそこで四つ目だったので、品川神社で五つ目になる予定ですけど」 「東京十社……」  紅乃は寺社仏閣巡りをするのが好きだ。だから、友人の亜子とそういう計画を立てていても不思議ではない。 「行っていないところは? 品川神社以外に」 「えーと……確か、神田神社、根津神社……、日枝神社、氷川神社、富岡八幡宮……かな。富岡八幡宮にも行きたいって言ってましたよ。前に店長さんから聞かれたとかなんとか」  亜子がいっているのは、富岡八幡宮のウラガミ様は何に関係しているか、という話をしたときのことだろう。 「だから、紅乃ちゃんが行きたがってた品川神社か、富岡八幡宮ならいるかも。……でも、それならそう言ってくれたらいいのに。ゼミ合宿とか親御さんに嘘までついて」
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