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第十四章 四.
「ええ、もうすぐ着くわ」
汐吉から連絡を受けた沙雪は、仕事を切り上げて若葉と合流して富岡八幡宮へと向かっていた。
本当は今日一日撮影の予定だったのだが、モデルは緊張しているのか帰りたいとごねていたため、仕切り直そうという流れになったところで汐吉から知らされたという経緯だった。
そのため、仕事を切り上げたのには違いないが、どうせもう帰るところだった。
富岡八幡宮に来てくれといわれ、話を聞きながら大学から帰る若葉をヒナゲシ邸の最寄り駅で捕まえて一緒に向かっている、というわけだ。
『俺たちは先に境内を探してる。着いたら蒼早の携帯に電話してくれ』
「分かった」
『じゃあそれで――、分かってるって、もう終わったから』
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