第十四章 四.

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 プツッ、と通話が切れる音がする。蒼早に早く返せと急かされたのだろう。沙雪は携帯を手にしたまま、隣にいる若葉を見やった。 「藤枝さん、急にごめんね」 「平気です。一コマぐらい休んでも、取り戻せるんで」 「でも、体調が悪いとき休んでたんじゃない? 出席足りる?」 「大丈夫ですって。先生にはぼくからちゃんと説明しますから」  しておいた、ではなく、する。つまり、明日以降の自分ががんばる、ということだ。  まぁいいか、と沙雪は小さく笑みをこぼした。 「喰代さんからの話はさっきの通り」 「はい、ちゃんと聞いてました。富岡八幡宮に和氣さんっていう子がいないか探すんですよね」 「二俣さんも一緒だと思うのよ、まとめてやっちゃおう」 「はい。……でも、どうして二人は一緒なんでしょう?」 「うーん……、真菅さんの推理通りなら、喰代さんが目当てだからでしょうね。和氣さんは弱点だと思うのよ。彼女のこと、大事にしてるみたいだし」 「真菅さんは弱点じゃないってことですか?」 「きっとね。それに真菅さんと和氣さんだったら、私でも和氣さんを選ぶわ。真菅さんよりは、強くなさそうだから」
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