第十四章 四.

4/8

85人が本棚に入れています
本棚に追加
/345ページ
「どこで喰代さんのことを知ったのか。つまり、ヒナゲシ会のことを知っていることになるわ」 「……おおっぴろげにするような人じゃありませんしね」 「ええ、そう。お店で話したことは会ったけれど、お客さんがいたのは出会った時くらいよ。その時は加入を拒否されたの。ヒナゲシ会に入っていると知っているはずがない」 「じゃあ誰かから聞いたとか」 「あり得るのはそれね。いったい、誰が話してるのを聞いたのかしら……」  はっきりしない気持ち悪さを抱えながら、携帯を内ポケットにしまおうとして、運悪くポケットに入ることなくスルリと地面へ落ちてしまった。 「あーーっ、携帯が!」  慌てて拾い上げようと前かがみになった時、黒いボタンがぽとん、と落ちた。 「沙雪さん、ボタンが」 「ああ、ごめんなさいね。ありがとう」  若葉が拾い、沙雪に手渡す。素直に受け取ったところで、自分のスーツを見た。ボタンは全てついている。
/345ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加