第十四章 四.

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―替えのボタンを入れっぱなしにしてたのかしら。  改めてボタンを見てみる。四つ穴のどこにでもあるような普通のボタンだ。の割には――分厚い。 「んー?」  ひょい、と横を見るようにしたところで、気が付いた。普通のボタンの厚さは三ミリほど。大きくても五ミリだろう。そして、横から見たときに後ろ側に何かがついているということもほぼない。くるみボタンでもないのだから。  だが、沙雪が見たそこには小さな四角いものがついていた。瞬間、脳内でもう一人の自分が叫ぶ。 ―これは盗聴器だ! 「っ、もう!」  怒りに任せて地面に投げ捨て、ヒールの踵で思い切り踏み込む。バキ、とかわいた音が後に続いた。 「さ、沙雪さん?」
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