第十四章 四.

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「……盗聴されてたみたい」 「ええっ?!」 「盗聴器かどうかは調べないとだけど、きっとそう。……捨てるわけにもいかないから、とりあえず持っていくわ」  何かの証拠になってくれるかもしれない。  ティッシュで掴み、そのまま包み込む。ポケットではなく、鞄にしまいこんだ。 「真菅さんに見せる」 「それがいいですね」 「盗聴されてたから、全部筒抜けだったのよ。なんてこと、私ったら本当にもう……」  自分が情けなくて仕方がない。落ち込みそうになる彼女を気遣った若葉が、優しく肩を叩いた。 「沙雪さん、今気づけてよかったじゃないですか。早く行きましょう」 「ええ……」 「気付かないよりずっといいですよ。盗聴器を壊したから、聞いている人にはこっちの様子が分からない。作戦も変更し放題です」
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