85人が本棚に入れています
本棚に追加
/345ページ
「……盗聴されてたみたい」
「ええっ?!」
「盗聴器かどうかは調べないとだけど、きっとそう。……捨てるわけにもいかないから、とりあえず持っていくわ」
何かの証拠になってくれるかもしれない。
ティッシュで掴み、そのまま包み込む。ポケットではなく、鞄にしまいこんだ。
「真菅さんに見せる」
「それがいいですね」
「盗聴されてたから、全部筒抜けだったのよ。なんてこと、私ったら本当にもう……」
自分が情けなくて仕方がない。落ち込みそうになる彼女を気遣った若葉が、優しく肩を叩いた。
「沙雪さん、今気づけてよかったじゃないですか。早く行きましょう」
「ええ……」
「気付かないよりずっといいですよ。盗聴器を壊したから、聞いている人にはこっちの様子が分からない。作戦も変更し放題です」
最初のコメントを投稿しよう!