第十四章 四.

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 つとめて明るく話すと、沙雪は弱々しい笑みを浮かべた。若葉の気遣いを悟っていた。 「そうね。……ちなみに、作戦ってあったの?」 「ええと……、二人を探すというのが、作戦……に該当するかな、って」 「……ふふ、そうね。じゃあ変更するとしたら……」 「探す人を増やすか、減らすか、でしょうか」 「それだ。じゃあ、もう一人探しましょう」 「誰ですか?」 「それはもちろん、死気が見えたって言ってた明坂さんよ。彼女も音信不通だから」  若葉の質問に、すっかり元の調子に戻ったらしい沙雪はチャーミングな笑顔で答えた。  本当なら、火曜日に会うはずだった瑞樹。そして来るはずだった紅乃。 ―私に盗聴器を渡すことができるのは、あの人くらいよ。
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