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「じゃあそろそろ鳥居のほうに……お」
くるり、と背中を向けていた後方を見た汐吉は手を大きく左右にふる女性に気が付いた。そばには見慣れた青年もいる。沙雪と若葉だ。
汐吉と蒼早も二人のもとへと小走りで駆けよる。
「ごめんねぇ、待たせちゃって」
「いや、急に連絡したのは俺の方だし」
「和氣さんは見つかった? 二俣さんは」
「どっちも。ここにはいないみたいで」
「そう……、んじゃ、明日また来ましょうか」
「え?」
「明日ならいるかもしれないじゃない」
どうしたの、と不思議そうな表情をして首を傾げる。
「……さっき、蒼早が同じこと言っていたから」
「喰代」
「本当のことだろ」
やめてよ、といいたげに眉をしかめる蒼早に飄々と言ってのける。
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