第十五章 一.

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「でも、さっき見つけた時壊したから安心して。今は誰にも聞かれてないはず」 「……盗聴器って、電波拾えないと聞けないんじゃないか?」 「そうなの? じゃあ、ずっとそばにいたのかしら」 「きも」 「そうとは決まったわけじゃないから……」  蒼早の素直な感想に、思わず若葉が苦笑いする。 「仕掛けたからには聞いていたに違いないんじゃないか」 「そうよね。どこからどこまで聞かれてたのか、分からないのが怖いところだけど。実は、和氣さんと二俣さんだけじゃなくて、明坂さんも探そうと思うの」 「明坂さんも?」 「そう。もし、盗聴器を壊す前のことを聞かれてたら、私たちが和氣さんを探してることを知ってるはずなの。だから、作戦変更」 「探す人数を増やしたのが?」 「そうよ。意表をつくの。明坂さんがあっち側前提の話だけどね」  自信はないの、と言いたそうにしながら愛想笑いを浮かべている。
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