第十五章 二.

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「……俺にも分からない。正直なところ」 「二俣って、どんな人?」 「俺が知ってるあの子は……、どこにでもいる頑張り屋な青年だ。ずっと、コツコツ文章を書いていた。カンテラで。在宅ワークをしながら、いつか小説家になるのが夢だ、って言って、なのにさ……」  どこで何が狂ってしまったのだろうか。いつから、侑斗は死気に侵されていたのか。 「……喰代。死気を浄化すれば、元に戻るはずだよ。だから、探し出さないと」 「ああ。……遅い気もするが」 「遅い?」 「松浪さんが、死気の性質は変わってきてるって言っていた。それは、死気に憑かれたはずの二俣が、死気を操るようになったからじゃないのか? そうだとしたら、彼はもう」  もう。  その先は言えない。  蒼早は不思議な瞳で、汐吉の言いたいことを探るように顔を見る。
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