第十五章 二.

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 真菅の声に短く相槌をうつ。電話は切れ、蒼早が汐吉の顔を見る。 「喰代、落ち着いた?」 「まあな。松浪さんと若葉に電話して、場所を変えると言ってくれ。真菅が、地図を送ってくれる……あ、ほら」  メールの受信を告げる画面を見て、蒼早に携帯を返す。彼は一度、二度と画面操作をして地図を表示させた。 「……ここに、いるの?」 「携帯の最後の発信地らしい。紅乃や明坂さんは分からないが、二俣はいるはずだ。今時、携帯を持っていないやつなんていないんだろ?」  さんざん、携帯を持てばいいのにといわれ、やっと購入を決めた汐吉だ。今はまだ持っていないが。  侑斗が持っていないはずがないとふんでいた。 「二俣を捕まえれば、とりあえず大丈夫なはずだ」 「そうだね。……電話する」 「ああ」  早く、早くそこへ。何より紅乃が元気でいてくれることを、願うほかなかった。
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