第十五章 三.

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「誰かいるのか、もしくは鍵を閉めていないだけか、ね」 「えっとこのビルの管理は……おおよし不動産、らしいです。電話してみますか?」  若葉が読み上げた不動産名に、汐吉と蒼早が反応して、そろって若葉を見つめる。 「えっ、ぼく何かやりましたか……?」 「いや。今、おおよし不動産って言った?」 「そのおおよしってダイキチって書くんじゃない?」 「看板にはそう書いてありますね」  見れば、“おおよし不動産”という大きな文字とは別に、右下の隅に“大吉不動産で検索”と書いてある。ただし、看板も古びたようにサビている部分も見受けられた。 「なになに、二人はその、大吉不動産のこと知ってるの?」 「昼に会った男……あ、まだ話してなかったな。大吉暁、だったか?」 「そう、合ってる」 「そいつに会った。名刺ももらってる」 「苗字が同じなら家族かも」
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