第十五章 三.

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 汐吉が取り出した名刺を、沙雪が受け取る。 「へー、クリエイティブなお仕事ね。気が合いそう。ウラガミ様候補?」 「なんとも。ただ、若葉の言ってた男だと思うから……」 「……ということは、死気が?」  沙雪が名刺を返すと、汐吉はうなずきながらそれをポケットに戻した。 「俺たちには憑いてるように見えなかった」 「ぼくの勘違いだったのかも。すみません、二人に行ってもらったのに……」 「若葉、そう言うな。死気はいつも見えるわけじゃない」  重症なら四六時中見えるようにもなるが、軽症ならば見える時と見えない時がある。 「話はこれくらいにして、行ってみよう。……劇場は何階だって?」 「二階。三階はレンタルスタジオ、四階は……なにもないみたいね」
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