第十五章 三.

6/7

85人が本棚に入れています
本棚に追加
/345ページ
「大丈夫だよ、沙雪。僕たちはヒナゲシ会だし、真菅の指示できたんだ。火事になったら彼が責任を取る」 「そういう問題じゃないだろ。あー、人の気配はしないな」 「死気の気配もね」 「じゃ三階に戻るか」 「……待って」 「なんだ?」 「ここ、元劇場なんだよね。ピッキングの道具くらいあるんじゃない?」  蒼早にいわれ、三人は互いの顔を見る。 「……というと、小道具とか大道具とか、美術係が使ってそうな?」 「探そう」  汐吉の質問に、まじめな顔をした蒼早もうなずく。四人は、客席の通路を通って舞台へと上がった。  少しきしんだような、きぃ、という音が響く。蒼早と若葉が舞台袖にある机を探し始めた。
/345ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加