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第十五章 四.
「……さて」
三階に戻った四人はドアの前に立つ。早速ピッキングをはじめようと汐吉はしゃがみこむ前に、視界の違和感に気付いた。
「……蒼早、蒼早」
「何」
ぶすっ、とした声で答える。
蒼早を選んだ理由は、しゃがむ必要がないのが彼だから、だが、背が一番低いなどといえば怒るに決まっているのであえて黙っておく。
「そこ、入ってすぐのカウンターっぽいところ。分かるか?」
おそらく受付だったのだろう。そのカウンターを眺めて、視線を下にやれば、床に影が落ちていた。
夕焼けの光が、窓から差し込んでいる。
窓から見える外には、夜に近づいた濃い青あとオレンジ色がまざった紫のような、あるいは桃のようなグラデーションが広がっていた。
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