第十五章 四.

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 言いながら、クリップを細長く変形させる。そして、マイナスドライバーを手に取り、そっと鍵穴に差し込む。かちゃり。軽い音が鳴った。続いて、左手で針金になったクリップを差し込む。 「……これで、あくはず」 「喰代さん、慣れてるのね」 「そんなわけないだろ。勘だよ、勘」  かちゃかちゃ、と動かす。やがて、かちゃん、と鍵があく音がした。 「……開いたわね」 「ああ。……入るけど、誰かいるかもしれないから気を付けて」 「ええ」 「分かりました」 「よし、いくぞ」  みんながうなずいたのを確認して、ぎぃ、と扉をあける。  影がわずかに右へ動いた。こちらを見ようとしている。 「……っ!」
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