第十五章 四.

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 汐吉がとっさに部屋の中央側へと一歩二歩、駆け足に近いスピードで出る。カウンターの向こう側にうずくまっていたのは――。 「……お前」 「……あれぇ?」 「わ、和氣さん!」  こてん、と首を傾げる紅乃を見た沙雪が駆け寄る。というのも、彼女はロープらしきもので縛られていた。 「和氣さん、探してたのよ。なんだってこんなところに」 「松浪さん……? あれ、店長もいる……水くださぁい」 「水、って……あら、石鹸の匂い。どこでお風呂に入ったの?」 「近くのぉ、ネカフェ……」 「ネカフェ?」  沙雪と紅乃は当たり前のように会話を続ける。汐吉は無言で紅乃に近づくとそばにしゃがみこんだ。
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