第十五章 四.

6/8

85人が本棚に入れています
本棚に追加
/345ページ
「……えっ?」 「俺には見えた。松浪さんが、紅乃のところに駆け寄った瞬間、黒い煙が一瞬目から出ていた」 「……なんのコトだか私にはぁ……」  このしゃべり方も、聞き覚えがあった。瑞樹だ。 「……俺には分かってるんだ。こうしたのが、二俣だってこと」 「にの、また……にのまたさん……死気を教えてくれた人……」 「そうだ」  浄化されるまで、離すわけにはいかない。洲崎天芽のときはためらった汐吉だが、紅乃に対しては迷いなく抱きしめた。それは、心の距離のあらわれ。 「……紅乃、戻ってこい。死気は、俺が浄化するから」 「……どういうことなの?」 「沙雪は気付かなかったと思うけど、彼女、死気に憑かれてた」 「本当? 藤枝さんは気付いた?」
/345ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加