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「いいえ。でも、汐吉さんが駆け寄らないから、何かあるとは思いました」
「何も考えてなかったのは私だけってことね……」
「そうでもないよ。沙雪が駆け寄ってなかったら喰代がそうしてたかも。ま、それだと浄化にもっと時間がかかってたかもしれないけどね」
「……ありがと」
「別に」
いつものすまし顔で蒼早は短く返す。
汐吉がようやく紅乃から離れた。というより、両腕を掴み、自分から離すように、ゆっくりと後ろに動かした。
「紅乃。分かるか?」
「え、っと……、店長? それに、皆さんまでお揃いで」
きょとん、とした表情で四人を見る。
「ロープを切れるようなものは今ないから、もう少し我慢してくれ」
「はい……、って、え、ロープ!? な、なんでこんなことに……」
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