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「お待たせしました~、はい、喰代さんと、和氣さんのお茶。蒼早くんはジュースね」
お盆に湯飲みとマグカップを乗せて現れた沙雪は三人の前に置いていく。
最後に自分の手元にも湯飲みをおいて、お盆を膝の上に置くようにしながら三人の顔を見渡した。
「さてと、お茶も出したし……、藤枝若葉さんについてお話しましょうか。蒼早くん、起きてる?」
「起きてる」
「目は閉じてるけどね……」
目を閉じたまま生返事する蒼早に、沙雪は苦笑いをする。汐吉は、先ほどの出来事ですっかり目は覚めていた。
「真菅さんから教えていただいた情報をもとに、自分でも調べてみたんです」
「え、どうやって?」
「藤枝さんと同じ大学に私の後輩がいたので、その子伝いで」
「後輩って、出身大学なのか?」
「いいえ、高校の後輩です。大学は違いますよ……あ、この言い方だとややこしいか。その後輩が藤枝さんと同じ大学なんです」
汐吉が尋ねるごとに、沙雪は丁寧に答えながら手帳を広げた。
「藤枝若葉くん、は、学部内ではちょっとした有名人だそうです。見た通りかわいい系の顔立ちながらハスキーな声音で、女の子たちからよく声をかけられているとか」
「あー……想像できる」
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